2019January

1月号

オーラルセックスなら
安全ってほんと?
性病のリスクは?

オーラルセックスなら安全ってほんと? 性病のリスクは? オーラルセックスなら安全ってほんと? 性病のリスクは?
01

性病=「性器の病気」と思いがち。
でも、のど(咽頭)にだってうつります

性病 =「性器の病気」と思ってしまいがち。だから、性器の接触さえ気をつけておけば大丈夫!と思い込んでいませんか?実は、性病はオーラルセックスによって、のどにもうつるんです。

それに加えて「オーラルセックスなら妊娠しないから」ということで、オーラルセックスでコンドームを使う人2割程度しかいないという報告もあります。

そんな油断しがちなオーラルセックス。
今回は、オーラルセックスでうつる可能性のあるSTD(性病・性感染症)をご紹介します。

02

オーラルセックスで
特に
注意したいSTD
(性病・性感染症)

淋病

オーラルセックスに関して、特に注意したいのは、淋病です。
というのは、淋菌が「のど」に感染すると、ほとんど症状を感じないからです。

ちなみに「性器」への感染、特に男性の場合は、膿がたくさん出て、排尿時に激痛を感じ、恥ずかしくてもなんでも、とにかく病院に行かざるを得ない状態になることが多くあります。

ところが、同じ淋菌でものど(咽頭)に感染した時は、話が違います。
のどに感染すると、教科書的には「のどのはれや痛み、発熱など」の症状が挙げられますが、実際には症状を感じることはほとんどありません。
そのため、感染していることに気づかず、治療も行われず、感染したままオーラルセックスを行うことで相手の性器に淋菌を移してしまいます。
こういった理由から、淋菌の咽頭感染が、感染拡大の温床になっているのではないか、とも言われているのです。

また、淋菌の咽頭感染は、性器に比べて治りにくいのも特徴です。
淋菌は、「耐性菌」といって治療薬が効かないタイプの菌が広まっていて、使える薬の選択肢が限られています。特に咽頭感染については、現在のガイドラインでも、治療薬の選択肢は一つしかありません。
もし、感染がわかった場合は、きちんと治療を受けて、治ったかどうかの確認の検査を受けることが非常に重要です。

オーラルセックスでの感染経路(淋病)

  • 男性の性器にオーラルセックスを行う場合
    男性性器→咽頭 咽頭→男性性器 両方の感染経路が考えられます。
  • 女性の性器にオーラルセックスを行う場合
    男性性器と同じ感染経路が考えられますが、可能性は比較的低いと思われます。

クラミジア

クラミジア も、淋菌と同様オーラルセックスでのどに感染します。症状も感じにくいため、気づかずにうつしてしまうことも考えられます。
クラミジアが性器に感染していた人の10~20%で咽頭からもクラミジアが検出されたというデータもあります。また、STDチェッカーにおいては、性器とのどの両方にクラミジアが感染していた人は、男性で0.08%、女性で1.5%となっています。1)
クラミジアについても、淋菌と同じように注意が必要です。

オーラルセックスでの感染経路(クラミジア)

  • 淋菌と同様の感染経路が考えられます。

梅毒

最近急増している梅毒 ですが、オーラルセックスでも簡単に感染してしまいます。
梅毒 は、症状が出ている部分との接触で感染します。症状は痛みもなく自分で気づきにくいため、そうとは知らずに相手にうつしてしまいます。

オーラルセックスで口に感染した場合、感染後3週間頃に出る第1期症状は、口に出ます。その状態でキスをすれば、それだけで相手に感染させる可能性が出てきます。

また、梅毒は最近まで感染者数が少なかったため、詳しい医師が少ないのも問題とされています。
耳鼻咽喉科で診断のつかなかった口の症状が、泌尿器科や皮膚科で梅毒が発覚した、というケースも報告されています。
現在、日本性感染症学会では、広く一般の医師に向けて梅毒診療ガイド の普及に取り組んでいますが、心当たりのある方は、梅毒を疑って検査を受けることが大切です。

オーラルセックスでの感染経路(梅毒)

  • 性器や口に症状が出ていた場合、粘膜や皮膚の傷にふれることで感染するリスクが出てきます。

ヘルペス

口唇ヘルペスって、性病だと思いますか?
ヘルペスには、大きく分けて口唇ヘルペスと性器ヘルペスがあります。
口唇ヘルペスの原因は「1型」のヘルペスウイルス、性器ヘルペスの原因は「2型」のヘルペスウイルス…でした。以前は。
ところが、最近はオーラルセックスの広まりによって、口唇から2型のウイルスが、性器から1型のウイルスが検出されるケースが増えています。
1型も2型も、型は違えども、同じヘルペスウイルス。口唇にも性器にも感染するのです。

でも、まだまだ「口唇ヘルペスが、セックスで感染する」なんて思う人が少ないので、コンドーム無しでオーラルセックスをして相手の性器にうつしてしまうケースがあります。

ヘルペスは、皮膚と皮膚の接触でも感染するため、コンドームで完全に防げるわけではありませんが、性行為時のリスクをかなり抑えることができます。

オーラルセックスでの感染経路(ヘルペス)

  • 皮膚と皮膚の接触で感染します。
  • のど→性器、性器→のどの両方の経路が考えられます。
  • 症状が出ていなくても感染する可能性があります。

HIV/エイズ

気になるHIV/エイズですが、オーラルセックスで移るリスクは、腟性交やアナルセックスに比べて低いと考えられます。
HIVの感染経路は、「感染した人の血液、精液、腟分泌液、母乳」と、「相手の粘膜や皮膚の傷口」との接触です。

感染している人の精液や腟分泌液にはHIVが含まれるため、それらが口内の粘膜に接触することで感染する可能性はあります。よって、オーラルセックスを「する側」にはある程度のリスクがあります。

一方で、唾液から感染することはありませんので、オーラルセックスを「される側」のリスクはかなり低いと考えられます。 ただし、口内に出血がある人がオーラルセックスをした場合、その血液が「される側」の性器にふれる機会があれば、感染する可能性が出てきます。

それでも、これらの感染はすべて「体液の接触」によって起こるものなので、コンドームを使うことでしっかりと感染を防ぐことができます。

オーラルセックスでの感染経路(HIV/エイズ)

03

オーラルセックスでの
性病感染リスクを
下げるには

ここまで見てきてわかるように、オーラルセックスでの感染は、性器と口の粘膜が接触することや、精液や腟分泌液との接触で起こります。
そして、コンドームは、これらの接触を物理的にさえぎる役割を果たします。
女性へのオーラルセックスの場合は、コンドームを裂いて使ったり、ラップを使うことが厚生労働省のウェブサイト でも勧められています。

妊娠しないから・・・といってコンドームを使わないで油断していませんか。
コンドームは、妊娠を防ぐだけではなく、性感染症を防ぐという大切な役割もあります。

オーラルセックスにおいても、まずはコンドームで予防。そして、予防できなかったと思ったら検査を受けることが大切です。