2018October

10月号

尿道が痛い?かゆい?治らない?
新しい性病?!
マイコプラズマ・
ジェニタリウム
が原因かも!
尿道が痛い?かゆい?治らない?新しい性病?! マイコプラズマ・ジェニタリウムが原因かも! 尿道が痛い?かゆい?治らない?新しい性病?! マイコプラズマ・ジェニタリウムが原因かも!

01

尿道の痛み・かゆみ・
違和感などの症状を、
尿道炎といいます

尿道が痛くなったり、かゆくなったり・・・このような症状を尿道炎といいます。その原因は、尿道に微生物が入って感染し、炎症を起こすことです。
尿道炎を起こす微生物として有名なのは、性病(性感染症)の中でもメジャーな淋菌クラミジアです。

尿道炎はその原因菌の種類によって、大まかに「淋菌による尿道炎」と、「クラミジアによる尿道炎」、そして「その他の菌による尿道炎」の3つに分類されます。

※クラミジア・淋菌などが同時に感染している、混合感染もあります。

では、クラミジアでも淋菌でもない尿道炎(非クラミジア性非淋菌性尿道炎)の原因って何なのでしょうか。
考えられる菌の種類はとても幅広く、代表的なもので、トリコモナスヘルペスウイルス、インフルエンザ菌、アデノウイルスなどが挙げられます。

繰り返しますが、尿道炎は、尿道に病原菌が感染して炎症が起こる病気のこと。
つまり、クラミジアや淋菌でなくても、何かの悪い菌が尿道に入ってしまうと、尿道炎になるんです。
例えば、不潔な場所での性行為によって、雑菌が入りこんで尿道炎になることも。最近は、オーラルセックスの広がりもあって、口の中の雑菌が原因で尿道炎になることもあります。

02

新しい性病!?
マイコプラズマ・ジェニタリウムとは

尿道炎の原因の「その他」の菌たちのなかで、今大注目なのが「マイコプラズマ・ジェニタリウム」です。
似た名前の病気で、「マイコプラズマ肺炎」なら聞いたことがあるかもしれませんね。
マイコプラズマ肺炎の原因菌は、「マイコプラズマ・ニューモニエ」といって、種類は似ていますが、別の菌です。

「新しい性病」なんて言いましたが、マイコプラズマ・ジェニタリウムが発見されたのは30年以上も前の1980年代のことです。当時はこれが性感染症かどうか、わかっていませんでした。

その後さまざまな研究が進み、マイコプラズマ・ジェニタリウムが「尿道炎の原因になっていること」、そして「性行為で感染すること」がわかってきました。 今では、非クラミジア性非淋菌性尿道炎の原因の20~25%を占めると考えられています。

さらに、ここ数年間で、性感染症に関連する公的機関が大きく動いています。
2015年6月には、CDC(米国疾病予防管理センター)のSTD治療ガイドラインで、「Emerging Issues(新たな課題)」として取り上げられ、尿道炎治療等における重要性が指摘されました。 1)

また、同年12月には、英国で大々的な疫学調査の結果が発表されました。
調査は、8,047人を対象に、性生活や性感染症の感染歴、性感染症の症状の有無などを聞くアンケートと、尿検査でマイコプラズマ・ジェニタリウムを検出するものでした。

その結果、男性の1.2%、女性の1.3%がマイコプラズマ・ジェニタリウムに感染していることが分かり、さらに、その大部分が症状を感じていない、ということも報告されています。 2, 3)

日本ではまだこのような大規模な調査は行われておらず、感染の広がりがどの程度か具体的な数字は分かりませんが、2016年に刷新された日本性感染症学会による「性感染症診断・治療ガイドライン」で、初めて「マイコプラズマ・ジェニタリウム」として項目が追加され、検査法や治療法について詳しく説明されています。 4)

CDC「STD治療ガイドライン2015」と日本性感染症学会「診断・治療ガイドライン2016」

03

マイコプラズマ・
ジェニタリウム
の症状は?

このように、注目が高まるマイコプラズマ・ジェニタリウムですが、感染した場合は、どのような症状が出るのでしょうか。

症状は、クラミジアと似ています。
男性の尿道に感染した場合、尿道からの分泌物や軽い排尿痛、かゆみや不快感などの症状が挙げられます。
一方で、大部分の人が症状を感じないとも言われています。

女性への影響については、男性よりもわかっていない部分が多いのですが、PID(骨盤内炎症性疾患)や腹痛、骨盤痛、不妊症や子宮外妊娠への関連が指摘されています。
妊娠中に感染すると、出産時に子供に感染することも。ただ、赤ちゃんに何らかの影響がでるのか、ということはまだわかっていません。

そして、今臨床現場で問題となっているのが、マイコプラズマ・ジェニタリウムが「新しい性病」だと言うことです。マイコプラズマ・ジェニタリウムは、クラミジアや淋病ほどはまだ知られていません。
クラミジアも淋菌も検出されない「非クラミジア性非淋菌性尿道炎」の場合、治療法はクラミジアとほとんど同じなのですが、たまたま治らずに、マイコプラズマ・ジェニタリウムが残ってしまった場合、尿道炎が完治しないことがあります。
ある報告によると、なかなか治らない尿道炎や再発する尿道炎の原因の約30%が、マイコプラズマ・ジェニタリウムである、とされています。

04

STD研究所からの
メッセージ

これまでは、「クラミジアでも淋菌でもない尿道炎」なんていう扱いを受けていた、マイコプラズマ・ジェニタリウム。まだまだわかっていないこともありますが、尿道炎への影響ははっきりしています。

治療法はクラミジアと似ているとは言え、原因を特定して治療に当たることで、効果が上がるというメリットがあります。
尿道炎が気になる方や、感染の機会があった場合は、検査をおすすめします。

STDチェッカーではマイコプラズマ・ジェニタリウムに加え、 尿道炎への影響が指摘されているウレアプラズマ・ウレアリチカム、マイコプラズマ・ホミニス、ウレアプラズマ・パルバムの4項目をまとめて検査できるキットをご提供しています。

なお、最初にお伝えしたとおり、マイコプラズマに限らず、尿道炎の原因はとても幅広いものです。
普段から性行為の際はコンドームを使うこともお忘れなく。