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HIV増殖仕組み解明 京大教授ら 新薬開発に期待

HIV増殖仕組み解明 京大教授ら 新薬開発に期待

 体内でHIV(エイズウイルス)が増殖する仕組みの一つを、京都大医学研究科の高折晃史教授やエイズ予防財団のグループが解明し、米国科学アカデミー紀要で9日発表する。HIVが作るタンパク質Vifが、ゲノムの守護神として知られるタンパク質p53を活性化し、ウイルスが増殖しやすい環境をつくり出していたという。

 HIVに感染した細胞では、細胞分裂を繰り返す周期「細胞周期」の進行が分裂前のDNAの修復が活発な状態で停止し、HIVの増殖が盛んになることが知られていたが、その仕組みはよく分かっていなかった。
 高折教授は、HIVが作るタンパク質で細胞への感染に必須なVifが、感染先の細胞のp53を活性化することで細胞周期を止めていることを、人の免疫細胞を使った実験で確かめた。周期を止めることで、増殖率が約100倍以上に高まっていたという。

 Vifは、人の体内で作られるHIVの増殖抑制酵素の働きを阻害することも既に分かっている。高折教授は「Vifの分解を促進する新薬ができれば、HIVの感染の制御に有効であることがあらためて示された」と話している。
(2010年11月09日 京都新聞)

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