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薬害エイズ訴訟、和解勧告を製薬企業側が拒否 大阪地裁

 非加熱製剤でエイズウイルス(HIV)に感染した血友病患者らが国と製薬会社5社に損害賠償を求めた薬害エイズ訴訟で、現在も大阪地裁(小野憲一裁判長)で係争中の3人について、製薬企業の一部が地裁の和解勧告を拒否していたことが15日、分かった。国は和解案の受け入れを決めており、原告側弁護団は製薬企業側に早期の受け入れを求めるという。

 弁護団によると、地裁は3月16日付で、3人にそれぞれ2800万円を支払うことなどを条件に和解を勧告。今月9日の和解期限までに国は受け入れを決めたが、製薬企業5社のうち一部の社が拒否した。
 薬害エイズ訴訟は平成8年3月、東京、大阪両地裁で、国と製薬会社側が1人当たり4500万円を支払うことで和解が成立。これまでに1380人が和解したが、3人は最終投与から20年以上が経過し、除斥期間(請求権の存続期間)が過ぎているとして、被告側が争っていた。

 地裁の和解所見によると、「原告らの健康状態にかんがみ、和解による原告らの早期救済を図ることがぜひとも必要」としたうえで、「治療方法の進歩に伴い損害額を考慮すべき」として、8年の和解時よりも和解金を減額した。

 5社のうち田辺三菱製薬など4社は「早期の解決を望んでいる」「和解案を受け入れる方向」などと受け入れを示唆するコメントを出したが、バクスターは「係争中なのでコメントは差し控えたい」としている。
(2010年4月15日 産経ニュース 掲載)

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