2019February

2月号

STD(性病)の
潜伏期間まとめ

オーラルセックスなら安全ってほんと? 性病のリスクは? オーラルセックスなら安全ってほんと? 性病のリスクは?
01

気になる症状、
もしかして“あの時”の…?

「なんだか気になる症状がある、もしかすると性病? そういえばあの時…」
そんなときに気になる性病の潜伏期間。
STD研究所でも潜伏期間に関するご質問をよくいただきます。

「潜伏期間」とは、感染した時点から、症状が現れるまでの期間のことを言います。
潜伏期間は、STD(性病・性感染症)の種類によって違っていて、感染して数日後に症状が出るものもあれば、何週間も症状が出ないものもあります。今回はそれぞれのSTDの潜伏期間について、まとめてみました。

02

STD(性病・性感染症)の
潜伏期間まとめ

性病検査でわかる各STDの潜伏期間イメージ図 性病検査でわかる各STDの潜伏期間イメージ図

クラミジア:1~3週間

クラミジアの男性性器への感染の場合、感染してから1~3週間くらいで尿道炎の症状が出ると言われています。尿道の痒みや不快感、排尿時の軽い痛みなどの症状があります。膿も出ますが、さらさらして量は少なめです。
淋菌よりも潜伏期間が長く、発症は緩やかです。

ただし、これは症状が出た場合の話。クラミジアの特徴は、「症状を感じにくいこと」です。感染している人の8割ほどが症状を感じないと言われています。また、咽頭(のど)への感染の場合も症状はほとんど出ません。

症状が出なければ、感染に気づかないので、受診が遅れます。そうなると、気づかないままパートナーにうつしてしまうことも。
また、例えばカップルの一方だけが陽性になった時、浮気を疑ってしまいがちですが、実は前のパートナーから感染していたのに、症状がなくて気づいてなかっただけ、なんてことも考えられます。

淋病:2~7日(男性性器への感染)

淋菌の男性性器への感染の場合、2~7日後から排尿痛や膿などの症状が出ます。
クラミジアよりも潜伏期間は短く、症状も強いため、受診に繋がりやすいのですが、人によっては淋菌もやはり症状が出ない場合があります。そして、女性は男性よりも症状が出にくく、潜伏期間ははっきりとしません。

非クラミジア性非淋菌性尿道炎:1~5週間

非クラミジア性非淋菌性尿道炎は、様々な原因菌が考えられるのですが、一般的に潜伏期間は1~5週間とされます。 膿がでたり、排尿時の痛みや尿道のかゆみといった症状で、クラミジアや淋菌の症状と似ています。比較的緩やかな症状です。

腟トリコモナス症:5~28日

トリコモナスに感染すると、5~28日後くらいから、あわ状の悪臭の強いおりものがでたり、外陰部や腟の痛み・かゆみが出ます。
トリコモナスも、感染している女性の20~50%は症状を感じないと言われています。

性器ヘルペス:2~10日

性器ヘルペスは感染してから2~10日後、ちいさなぶつぶつ、水ぶくれができて痒くなります。
ただ、感染した時は無症状で、その後何かのきっかけで身体の免疫力が落ちた時にウイルスが活性化して症状が出ることもあります。

梅毒:10~90日(平均21日)

梅毒に感染してから最初の症状が出るまでの期間は、約3週間(21日後頃)と言われています。
ただし、これはあくまで平均的な潜伏期間であり、早い場合は感染10日後から症状がでることもありますし、90日たってやっと症状が出ることもあります。
また、梅毒は症状が出たり消えたりするのも特徴です。最初の症状(第1期梅毒)は2~3週間で自然に消え、そのまま放置すると3ヵ月後頃に症状があらわれます(第2期梅毒)。
第1期の症状は見逃されることも多いため、「最初に感じた症状が第2期だった」ということもよくあります。

HIV:2週間(初期症状)

HIVに感染してから2週間後くらいに発熱などインフルエンザのような症状が出る場合がありますが、何かの体調不良か?と思ってしまい、気づかないケースも多いです。
そしてその後は、数年~10年ほど症状のない期間が続き、検査や治療を受けなければエイズを発症します。

03

「潜伏期間でも
検査できますか?」

「潜伏期間でも検査はできますか?」
これもSTD研究所によく寄せられるご質問です。

よく混同されるのですが、「潜伏期間」と「検査ができる時期」は、全く別のものです。

潜伏期間は、感染してから症状が現れるまでの期間。症状は出ていなくても、病原菌は身体に存在しています。
よって、「病原菌そのものの存在を調べるタイプの検査」であれば、潜伏期間でも(症状が無くても)正しい結果が出ます。
クラミジアや淋菌、トリコモナスなどの「抗原検査」「PCR検査」などと呼ばれる検査がこれに該当します。

一方、「検査できる時期」ですが、これは、主に血液検査を受けるときに知っておいてほしい期間です。
性病・性感染症の検査項目において、HIVや梅毒の血液検査は、血液中の「抗体」を調べます。

「抗体」は、病原菌が体内に侵入してきたときに身体が反応して作られる物質なのですが、この抗体が作られるのに、時間がかかるのです。
検査の種類や個人差によってその期間はまちまちですが、概ね1ヵ月以上はかかります。
そのため、例えば「昨日感染の機会があり、心配になって今日検査を受けました」となると、感染していても抗体がまだできていないので、陰性(-)の結果が出てしまいます。
下の図の通り、HIV・梅毒・B型肝炎の検査の場合、正しい結果を得るには感染の機会から短くとも1ヵ月以降、感染していないことが確実にわかるのは3ヵ月以降となります。

各性病ごとの性病検査を行うことができる時期のイメージ図 各性病ごとの性病検査を行うことができる時期のイメージ図
04

性病の特徴は
「症状が無い」こと

今回、いろいろなSTDの潜伏期間をまとめてみましたが、覚えておきたいのは、これはあくまで目安、ということです。
気になる行為のあと、潜伏期間を過ぎても症状が出なかったから安心、ということではありません。
性病の種類によっては、症状が出ないことの方が多いのです。
そのため、感染に気づかずに長く放置してしまうケースもよくあります。
しかも、症状がなくても病気は進んでいきますし、感染力はあるのでパートナーに感染させてしまいます。

そんな厄介な病気ですが、「予防と検査で防げること」もぜひ覚えておいてください。
STD(性病・性感染症)は、コンドームなどの簡単な方法で防ぐことができます。また、検査で感染に早く気づき、早く治療すれば、自分だけでなく、パートナーの体も守ることができます。
ぜひ普段からの予防と定期的な検査を心がけてくださいね。

STDの特徴 ・症状が出にくく、気づきにくい・症状がなくても、進行&感染する・予防と性病検査で防げる STDの特徴 ・症状が出にくく、気づきにくい・症状がなくても、進行&感染する・予防と性病検査で防げる