川崎市衛生検査所登録
第291号
STD研究所
エニーラボラトリー
「肝炎」 という病気について、皆さんはどんなイメージをもっていますか?
お酒の飲み過ぎが原因?
もちろん、お酒も原因のひとつですが、「性行為によるウイルス感染が原因」 の肝炎 があることをご存知でしょうか。
肝炎は、急性肝炎として数ヵ月で治る場合もありますが、慢性化した場合は、肝硬変や肝臓がんへ進行することもあるので
気をつけないといけない病気です。
なんだか複雑で難しそうな病気・・・ そんな方のために、今月は肝炎についての特集です。
肝炎はその名のとおり、「肝臓に炎症がおきること」です。
自然に治る場合もありますが、炎症が続くと、細胞が壊れて、肝臓の働きが悪くなります。そのため、全身倦怠(だるさ)、食欲がない、濃い色の尿が出る、発熱、黄疸 (体や白目が黄色っぽくなる) といった症状が出たり、慢性化した場合は、肝硬変や肝臓がんといった重い病気につながる可能性があります。
「肝炎」 の原因は様々です。
実は、お酒や薬による肝炎というのは少なく、日本人の肝炎の約80%は、肝炎ウイルスの感染が原因である と言われています。
肝炎の種類 | 原因 |
---|---|
ウイルス性肝炎 | 肝炎ウイルスの感染 ※日本人の肝炎の原因の約80%を占める |
薬剤性肝炎 | 服用したくすりや、 そのくすりによるアレルギー反応 |
アルコール性肝炎 | お酒の飲みすぎ |
自己免疫性肝炎 | 免疫機能の異常 |
では、原因の多くを占める 「肝炎ウイルス」 とは、どのようなものでしょうか。
肝炎ウイルスは、A型、B型、C型、D型、E型の5種類が代表的なものとして知られています。
そして、これらのウイルスが原因となった肝炎を、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎・・・と呼びます。
しかし、肝炎ウイルスの実体がわかってきたのは、ここ数十年のことであり、B型肝炎ウイルスが発見されたのは1964年(約50年前)、C型肝炎ウイルスが発見されたのは1989年(約25年前)です。
日本国内には、肝炎ウイルスの感染経路が判明する以前に、輸血や手術、そして出産の際などにB型肝炎やC型肝炎に感染した危険性のある人が多くいると推定されています。よって、日本国内では高齢者の方々を中心に、B型肝炎の患者・感染者は110万人〜140万人、C型肝炎の患者・感染者は190万人〜230万人いると推定されています。
ちなみに現在は、そのようなウイルスが感染しないよう、輸血や手術時の安全性は保たれています。また、母子感染を防ぐために、妊婦健診にB型・C型肝炎ウイルスの検査が含まれていたりします。
・・・ということは、肝炎ウイルスの感染はほとんど無くなった? と思いたいのですが、実はあと一つ、「性行為」 という感染経路があるのです。
日本で特に感染者が多いのは、A型、B型、C型の3種類の肝炎ウイルスです。
先ほどの段落で、「性行為」 という感染経路があるとお伝えしましたが、特にB型肝炎ウイルスに気を付ける必要があります。なぜなら、B型肝炎ウイルスはとても感染力の強いウイルスであり、血液だけでなく、精液や腟分泌液などの体液を介して感染する可能性もあるからです。
B型肝炎ウイルスの感染力の強さに関しては、医療従事者の針刺し事故における感染率より、C型肝炎ウイルスの10倍、HIVのおよそ100倍もの感染力であるとされています。
日常生活では、感染している人の血液や体液が直接または間接的に付かないように注意をしていれば、B型肝炎ウイルスに感染することはありません。しかし、性行為の際には、精液や腟分泌液などの体液の接触はたくさんあり、微量の血液に接触する可能性もあります。よって、アナルセックスや生理中の性行為など、出血や粘膜の傷ができやすくなる性行為は、特に感染の可能性が高くなります。
ウイルスの種類 | 性行為時に想定される感染経路 |
---|---|
A型肝炎ウイルス | 感染力は強い 便中や肛門周辺のウイルスが口に入り感染する ※特にリミング(肛門をなめる行為)などで感染の可能性がある |
B型肝炎ウイルス | 感染力は強い 血液や、精液・腟分泌液などの体液を介して感染する ※性行為全般における感染に要注意 |
C型肝炎ウイルス | 感染力は弱い 血液を介して感染する ※性行為による感染は少ない |
B型肝炎ウイルスに感染しても、多くの場合は急性肝炎として数ヵ月で治りますが、最近は、慢性化するタイプのウイルスが増えてきているとも言われています。この場合は、時間をかけて肝硬変や肝臓がんへ進行することがあるので、要注意です。
B型肝炎の予防には、コンドームの使用が有効です。
しかし、前段落で述べたとおり、B型肝炎ウイルスは非常に感染力の強いウイルスであるので、パートナーや家族がB型肝炎の持続感染者である方、そして海外赴任をする人などは、ワクチン接種を受けておくと安心です。
ワクチン接種費用は保険適用ではなく、1回につき5,000円〜10,000円で、期間をあけて3回接種する必要があります。急性のB型肝炎に一度かかった人は、抗体ができるので再感染の可能性はなくなります。
ワクチン接種について詳しくは医療機関へご相談下さい。
「分かっていたものの、無防備な性行為をしてしまった・・・」
そんな場合は、症状がなくてもきちんと検査を受け、自分の体の状態を知ることが大切です。
B型肝炎の検査は、保健所などの自治体における検診や医療機関でも可能ですが、検査に行く時間がない、他の性感染症とまとめて検査を受けたいという方にはSTDチェッカーでも検査が可能です。
STD研究所ではB型肝炎を基本検査項目とし、HIV・梅毒とセットで検査することをおすすめしております。血液を自分でとって、郵送していただくだけですので、簡単です。
血液の基本検査項目を集めたセット。 STDチェッカー タイプO(男女共通)【血液】 HIV(エイズ)・梅毒・B型肝炎 |
尿・血液・のどの基本検査項目をセットした、 【尿】 クラミジア、淋菌 【血液】 HIV(エイズ)・梅毒・B型肝炎 【のど】 クラミジア(のど)、淋菌(のど) |
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他のSTD(性感染症)と同様、予防をしない性行為があった時は、検査を受けることがとても大切です。
自分の健康のため、そしてパートナーのため。守りたい人を大切に思う気持ちで検査を受けてみませんか。