川崎市衛生検査所登録
第291号
STD研究所
エニーラボラトリー
「フェラチオをされたらどんなSTD (性感染症)になりますか?」 などといった質問がSTD研究所にはよくよせられます。
不安なことがあっても周りの人に聞きにくいのがSTDではないでしょうか。
病気について知識がなければ、感染を防ぐことも、治すこともできません。ぜひ、今月の特集を参考にして下さい。
そもそもSTDは、それらの病原菌などを持った人と性行為を行なうことにより感染する病気のことを言い、自然発生するものではありません。
では、具体的にどのような行為で感染するのでしょうか?
◆ クラミジアや淋菌は・・・
感染している人の精液や、腟分泌液に病原体が含まれているため、コンドームを付けずにセックスやアナルセックス、オーラルセックスすることで感染の可能性があります。
【もう少し詳しく】 広がるのどへの感染
性器だけではなく、のどにクラミジアや淋菌が感染することもあります。
女性が男性に対してフェラチオをした場合では、「男性の性器→女性ののどに感染する可能性」と「女性
ののど→男性の性器に感染する可能性」があります。菌にとっては、性器の粘膜とのどの粘膜は似た
ような環境だからです。
◆ HIVやB型肝炎は・・・
感染している人の精液や腟分泌液に加えて、血液にも原因のウイルスが含まれます。コンドームを付けずに行うあらゆる性行為によって、感染の可能性があります。
◆ 性器ヘルペスや尖圭コンジローマは・・・
おしりや太もも、肛門などの広い範囲にできものが出るため、コンドームを付けていても完全な予防はできません。
また、感染してから症状が出るまでに時間がかかったり、症状は収まってもウイルスを完全に排除することが難しい病気です。よって、お互いの体の状態によっては、症状が出ていない時でも、感染の可能性があります。
STDは予防しなければ1回のセックスであっても感染の可能性があります。
そして、自分自身の健康を著しく損なったり、知らない間にパートナーにうつしてしまうことになります。
どんな行為で何に感染するの?もっと詳しく知りたい!という方は、 STDデータベース(したコト検索) からご覧下さい。 |
「性行為は特定の人と、コンドームを着用して・・・」
分かってはいたけれど、予防できなかった・・・ そんなときはどうしたらよいのでしょうか?
痛みや違和感があるなど、明らかに感染している自覚症状がある場合は、なるべく早く医療機関へ行きましょう。
病気の種類や治療法により異なりますが、最初の診察料は3,000円〜5,000円くらい、検査代は1,500円〜10,000円、薬代は3,000円〜です。これは保険適用でない場合のおよその金額ですが、保険適用の場合は上記金額の3割負担となります。
治療が必要な場合に保険のきかないSTDはありませんが、感染不安で複数項目の検査を受ける場合などは保険がきかない場合もあります。医療機関の診療・治療方針により様々ですので、支払金額が気になる場合は、受診前に医療機関へご確認されることをおすすめいたします。
代表的な受診科 | |
男性の場合 | 泌尿器科、性病科 など |
女性の場合 | 婦人科(産婦人科)、性病科 など |
ブツブツやイボイボ | 皮膚科 など ※ |
のどへの感染の場合 | 耳鼻咽喉科 など ※ |
前段落でも述べたようにSTDは、症状が出ていなくても感染していれば、他人にうつしてしまったり、体をむしばんでいくものが多くあります。不安な行為があった場合は、症状が無くとも早く対処することが重要です。
忙しくて病院や保健所に行けない方や、対面での検査はできれば避けたい・・・という方におすすめです。 | |
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治療方法は、病気の種類や程度などによりさまざまです。簡単にですが、以下に紹介します。
◆ クラミジア・淋菌など、これらを原因とするSTD の治療は、初期であれば内服薬等で短期間で治りますが、病気が進行すると治療が難しくなることがあります。
◆ HIVは治療法が進歩しており、早期発見して適切な治療を行なえば、コントロール可能な病気になってきています。 (詳しくは、STDデータベース HIV感染症/エイズ をご覧下さい。)
◆ 性器ヘルペスは、抗ウイルス剤を内服することで、症状は治まります。しかし、病変部分が治ってもウイルスを完全に排除することはできず、再発すること多い病気です。再発を防ぐには、健康的な生活を心がけ、過労やストレスなどがないようにすることが大切です。
◆ 尖圭コンジローマは、軟膏をぬったり、外科的治療などを行ないます。外科的治療は、電気メス、炭酸ガスレーザーによる焼却、液体窒素による凍結療法などでイボを切除しますが、イボを切除しても次々と新しいイボが出てくることがありますので、治療が終わっても最低3ヵ月は様子を見る必要があります。
治療の際に、自分の判断で薬を飲むのをやめたり、インターネットで薬を購入することは、完全に治せないばかりか、病気を悪化させる原因になります。かならず、医師の診断に従いましょう。
そして、何より大切なのは、普段からコンドームを利用する習慣をつけるなど、より安全な性行為を心がけることです。
不安な行為があった場合は、悩んでいるよりもまずは検査を受けましょう。そして、あなた自身と大切なパートナーのためにぜひSTDについて正しい知識をもってください。
【参考】 厚生労働省も、このような呼びかけを行っています。
←性感染症の検査や受診をすすめるポスター (厚生労働省HPより) あなたが感染すれば、 大切なパートナーにも 感染します‐性感染症。 性器クラミジア、淋菌感染症、尖圭コンジローマ、性器ヘルペス、 梅毒などの性感染症は、性行為をとおしてうつる病気です。 そして、かかったことに気がつきにくいため、 誰もがうつしたりうつされたりする可能性があります。 大切なのは早期発見・早期治療。 さらに効果的な予防のためにコンドームも忘れないようにしましょう。 保健所なら 匿名で検査や相談を受けられます。 |