川崎市衛生検査所登録
第291号
STD研究所
エニーラボラトリー
ひと昔前、HIV感染症は死に直結する病気でした。
しかし、現在ではHIVに感染しても、適切な治療を受ければ、長く生きていけるようになりました。
だからこそ、感染後も、より健康で、負担の少ない生活をおくれるように、治療法はさらに進歩を続けています。
今月の特集は、進歩した治療法と、早期発見・早期治療のメリットについてご説明します。
HIVに感染すると体にはどのような変化がおこるのでしょうか?
体の中でHIVはどんどん増えて、免疫のしくみを壊してしまいます。その結果、免疫力が低下して健康な人であれば何ともない菌やウイルスで 様々な病気がおこります。その病気が、「エイズ指標疾患」 とされる病気にあてはまると、「エイズを発症した」 と診断されます。
よって、HIVが増えないようにする治療が必要となります。
以前の治療は・・・
HIVが増えないように、薬を1日に複数回、数錠ずつ飲み続けなければいけませんでした。
よって、飲み忘れをしやすく薬が効きにくくなることがあったり、副作用が大きいことも問題でした。つまり、感染者に負担が大きく、続けることが難しい治療だったのです。
そのため、感染が分かっても、すぐに治療を始めるのではなく、免疫力があるラインを下回るまで治療の開始を遅らせることが一般的でした。
現在の治療は・・・
1日に1〜2回、1回で2〜4錠ですむ飲みやすい治療薬が開発されています。
これらの薬は、副作用も少なく、飲み続けやすいように進化しています。
新たな治療薬の登場によって、以前よりも「感染後、早い段階で治療を始めること」がすすめられるようになっています。
「早期治療が大切」とはどの病気にもいえることですが、HIV感染症についても、早く治療を始めることにより大きなメリットがあると考えられています。
【免疫力を高め、さまざまな病気を予防することができます】
早く治療を始めると、より早くから体の中のHIV量をおさえることができます。よって、免疫力(CD4陽性細胞数)の低下を防ぐことができ、エイズ発症を抑えることはもちろん、さまざまな病気に感染する可能性を減らすことができます。
逆に治療の開始が遅れると、免疫力は低下し、エイズの発症につながります。医療が進歩したといっても、回復に長い時間が必要となったり、後遺症が残ることもあります。
【パートナーへの感染を予防することができます】
より早くから体の中のHIV量をおさえることによって、パートナーへHIVをうつす可能性は低くなると考えられています。
感染を広げないためにも、早くに治療を始めることが大切といえます。
【病気の進行が早くなっている可能性】
以前は、HIVに感染してからエイズの発症までは、数年〜10年ほどでした。
しかし、近年はその期間が短いことがあり、2〜3年での発症も珍しくないといわれています。
以上のことから、HIV感染症は、より早く治療を始めるのが良い、と考えられるようになってきました。
●さらに詳しく <長期療養の中で問題となる合併症>
HIV感染は死と直結する病気ではなくなり、感染者は長い期間にわたって、HIVと共に生きていくことになります。
この長期療養の中で、HIV感染者が、感染していない人と比べて、なりやすい病気があることが分かってきました。
それは、心筋梗塞など心臓や血液に関する病気、認知障害、悪性腫瘍などです。これら合併症については、最近注目され始めた問題であり、まだ不明な点もあります。 しかし、早く治療を開始することは、合併症の予防にも効果があると考えられ研究が進んでいます。
早期発見とはいえない現状
昨年2012年、新たにHIV感染が分かった方は1,449人。その内、約30%の方はエイズを発症した状態でした。
また、今年2013年の第2四半期(4月1日〜6月30日)において、 エイズを発症してはじめてHIV感染が分かった方は146人となり、四半期では過去最多でした。現状は、病気が進行した状態で見つかる方がたくさんいらっしゃいます。
参考資料:エイズ予防情報ネット(エイズ発生動向年報)
検査を受けて、早期発見と不安の解消を
無防備な性行為など、HIV感染を予防できなかったと感じた場合は、検査を受けることが必要です。
陽性(+)であった場合は、先ほどご説明したとおり、早期治療へつなげることができます。
陰性(-)であった場合は、改めてセーファーセックスについて考える機会にしてください。
安心して検査を受け、結果をとらえられるように、保健所や多くの支援団体などへ、対面や電話で相談することもできます。
検査を受ける、その手段のひとつとして郵送検査があります
また、「対面で検査を受けることに抵抗がある」「検査に行く時間がない」という方には、郵送検査をお勧めします。
2012年に郵送検査でHIV検査を受けた方は65,228件で、この10年で10倍以上となっており、早期発見のための有効なツールとなっています。
性病検査STDチェッカー タイプJ ご自分で検査物を採取していただき、検査は病院や保健所などと同じく、認可を受けた登録衛生検査所で行ないます。 検査結果はサイト上でログインしてご確認いただきます。 STD研究所では、お客様個々のケースに応じてご質問を承ったり、検査結果が陽性(+)でご希望の方には、個別に医療機関をご案内しています。 |
HIV検査はどのような検査なのか、 そして、その結果はどうとらえたらよいのか、などを ご案内したコンテンツです。 |