川崎市衛生検査所登録
第291号
STD研究所
エニーラボラトリー
STD(性感染症)予防といえば、コンドーム。でもフェラチオやクンニリングスの時はどうしていますか?
多くの人が、オーラルセックスには無防備になっているのではないでしょうか。
オーラルセックスも膣性交やアナルセックス(肛門性交)と同様に、予防をしなければSTDに感染する可能性があるのです。
今月の特集は、知らないうちに感染しているかも・・・「オーラルセックスで感染するSTDについて」です。
そもそも、オーラルセックスとは、口や舌を使って相手の性器を刺激する行為のことで、フェラチオやクンニリングスがこれにあたります。風俗でのサービスとしても人気ですが、普通のカップルの間でも、一般的な行為となっています。
ある調査によると、オーラルセックスを性行為の度におこなっている人、時々おこなっている人は、10代男性の75.0%、女性では65.0%、20代男性では58.4%、女性では65.9%となっています(平成22年、家族計画研究センター調査より)。
このように多くの人がおこなっているオーラルセックスですが、膣性交と違って妊娠する可能性がないため、コンドームを使用していない人が多いのではないでしょうか?
しかし、オーラルセックスも膣性交やアナルセックスと同様に、予防をしなければSTDに感染することがあります。
性器だけでなく、口をとおしてSTDに感染することを知らない方はまだまだ多く、感染の拡大が問題となっているのです。
(表参考) 厚生労働省発行 知っておきたい性感染症mini講座
では、オーラルセックスによって、どのようなSTDに感染する可能性があるのでしょうか?
次の段落で具体的にご説明します。
【咽頭(のど)に感染する、クラミジア・淋菌】
近年、感染が広がっているSTDとして、「咽頭(のど)へのクラミジア・淋菌感染」があります。
クラミジアや淋菌は、感染者との粘膜同士の接触や、精液、腟分泌液を介して感染します。
女性が男性に対してフェラチオをした場合では、クラミジアや淋菌が「男性の性器→女性ののどに感染する可能性」と
「女性ののど→男性の性器に感染する可能性」があります。菌にとっては、性器の粘膜とのどの粘膜は似たような環境なのです。
のどにクラミジアや淋菌が感染した場合の症状は、のどの痛みや腫れ、発熱などです。しかし、これらの症状は出ないことも多いため、感染に気付かずに、さらに別のパートナーにうつしてしまうこともあります。
性器に淋菌をもっている人の10〜30%、クラミジアをもっている人の10〜20%は、同様にのどからもこれらの菌が検出されたとの報告もあります。
【梅毒】
梅毒は、皮ふや粘膜の小さな傷から病原菌が侵入し、血液中に入って全身に広がります。口に梅毒の病変部分がある場合は、キスやオーラルセックスでパートナーに感染します。
【ヘルペス】
口唇ヘルペスの症状がある時にオーラルセックスをすると、相手の性器に感染します。
【HIV/エイズ】
HIV(エイズの原因となるウイルス)が粘膜や傷口から血液内に入ることがあれば、オーラルセックスであっても感染の可能性はあります。
例えば、女性が男性に対してフェラチオをした場合では、
・女性の口内にHIVを含んだ出血があり、それが尿道口から侵入する
・HIVを含んだ精液が、女性の口内粘膜や傷口から侵入する
これらによって感染することが考えられます。
【参考】 |
無防備なオーラルセックスによって、STDに感染する可能性があることを分かっていただけましたか?
オーラルセックスの時にも、コンドームを使用し、精液・膣分泌液や患部との接触を避けることによって、感染を予防できます。ゴム臭の少ないコンドームなども販売されていますので、状況に応じて選ぶことをお勧めします。
そして、予防できなかったと感じた場合には検査を受けましょう。
咽頭のクラミジア、咽頭の淋病については耳鼻咽喉科が主な受診科となりますが、まだ咽頭感染に対する認識が広まっていないため、検査や治療を実施していない耳鼻咽喉科もあります。検査を受けたい場合は、事前に医療機関にお問い合わせください。
症状が出ていないから病院へ行きにくい、忙しくて病院へ行く時間がないという方は、STDチェッカーでも検査が可能です。
咽頭のクラミジア・淋病については、口の奥にある口蓋扁桃(へんとうせん) を綿棒で数回こすって採取した咽頭ぬぐい液で検査が可能です。(「性器への感染」 と 「のどへの感染」 は別であるため、それぞれの箇所から検査物を採取する必要があります)
▼ STDチェッカー おすすめの検査タイプ
咽頭のクラミジアと淋菌の感染、 性器のクラミジアと淋菌の感染、まとめて4項目を検査できます。 STDチェッカー タイプP(男性用) 【項目】 クラミジア、淋菌、クラミジア(のど)、淋菌(のど) |
咽頭のクラミジアと淋菌の感染、 性器のクラミジアと淋菌の感染、まとめて4項目を検査できます。 STDチェッカー タイプP(女性用) 【項目】 クラミジア、淋菌、クラミジア(のど)、淋菌(のど) |
オーラルセックスでSTDに感染するなんて知らなかった、という方は多いと思います。
この機会に、自分の健康と愛するパートナーのために検査を受けてみませんか?