川崎市衛生検査所登録
第291号
STD研究所
エニーラボラトリー
クラミジアは男女ともに、もっとも多いSTD(性感染症)とされ、特に10代から20代の若い世代に感染が広がっています。
特に女性の場合は、感染しても症状(おりものの増加や不正出血、下腹部痛など)を自覚しにくい病気です。自分が感染していることに気づかないまま、パートナーへ感染を広げてしまう人も多いと考えられています。
また、最近は、のどへのクラミジア感染が問題となっています。
女性が男性に対してフェラチオをした場合では、クラミジアが「男性の性器→女性ののどに感染する可能性」と
「女性ののど→男性の性器に感染する可能性」があります。のどへの感染も、症状は出ないことが多いため、感染に気づかずに、さらに別のパートナーにうつしてしまうこともあります。
性器にクラミジアをもっている人の10〜20%は、同様にのどからもクラミジアが検出されたとの報告もあります。
性感染症というと特別な病気のイメージをもっている方もいらっしゃいますが、 普通のカップルの間でもクラミジアの感染は広がっています。
(参考リンク) 性器クラミジア感染症について
クラミジアの原因であるクラミジアトラコマティスという病原体は、感染者の精液や腟分泌液、粘膜に存在しているため、
コンドームを付けない性行為(オーラルセックスを含む)によってパートナーに感染します。
女性の場合、クラミジアは腟と子宮を結ぶ子宮頸管という子宮の入口部分に感染します。
感染に気づかないでいると、子宮頸管炎をおこし、子宮を経ておなかの中に感染が広がります。そして、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤腹膜炎、肝周囲炎などにつながることがあります。
炎症が広がることによって激しいおなかの痛みがおこり、はじめてクラミジアの感染に気がつくという場合もあります。
感染が早くわかれば服薬治療ですぐに対処できるクラミジアですが、女性が長期に感染し続けた場合などは、不妊症になる可能性があり、特に大きな影響を及ぼします。
● どうして不妊症につながるのでしょうか?
クラミジアによって、卵管内にうみが溜まったり、周囲の組織に癒着(炎症により臓器や組織同士がくっつくこと)がおこったりします。卵管が狭くなると受精卵の輸送がうまくいかず、最悪の場合は卵管が閉じて妊娠が不可能ということになります。
知らない間に感染し気がつかないまま体を蝕んでしまうため、早期発見・早期治療ができずに不妊症の方が増加してしまうことが、医療関係者の間でも懸念されています。
● 不妊症の他にはどのような影響があるのでしょうか?
クラミジアに感染すると子宮頸管などが炎症をおこしているため、そこからHIV(エイズウイルス)に感染する確率が3〜5倍になると言われています。
● クラミジアの感染が不安な方は?
感染しないようにするには、普段からコンドームを利用するなど予防を行うことが大切ですが、予防ができなかった時は、ぜひ検査を受けることをおすすめいたします。
クラミジアは、婦人科(男性の場合は泌尿器科)で診てもらうことができます。
ちなみに、妊娠した女性には母子感染を防ぐため、妊婦検診としてクラミジアの検査が行われています。