川崎市衛生検査所登録
第291号
STD研究所
エニーラボラトリー
厚生労働省のエイズ動向委員会で、昨年(平成25年)の年間報告(速報値)が発表されました。
昨年中に新たに報告された【HIV感染者/エイズ患者】の数は1,546人で、過去2位という結果になりました。
※これまでの最高は、平成20 年(確定値)で1,557人。(HIV感染者1,126 人/エイズ患者431人)
では、これら統計の詳しい内容はどうなっているのでしょうか。
平成25年 年間報告(速報値) 内訳
新規HIV感染者 | 新規エイズ患者 | |||||||||||||||||||||
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感染経路別 |
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性別 |
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年齢 | 年齢別では、特に20〜30代が多い | 年齢別では、特に30歳以上に多い (40歳以上で約63%を占める) |
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小計 | 1,077人(過去3位) | 469人(過去2位) | ||||||||||||||||||||
合計 | 1,546人(過去2位) |
【HIV感染者】については、同性間の性的接触による感染が約71%と、多数を占めています。
性別でも男性が多く、性行為の中でも傷や出血を伴いやすいアナルセックスが感染の危険性が高いということが原因していると思われます。
【新規エイズ患者】は469人でしたが、これは過去2位となりました。
これは、HIVに感染していることに気づかず、何らかの症状が出た段階で初めて検査したところエイズ発症がわかった、というケースです。いわゆる「いきなりエイズ」と言われているもので、新たにHIV感染が分かった1,546人の内、30%以上を占めます。また、年齢層が上昇傾向にあり、特に30歳以上が多く、40歳以上で約63%を占めます。
これらより、検査を受けている人がまだまだ少ないのではないか、と考えられています。
昨年、保健所などでHIV検査を受けた人は136,400人でした。ここ数年ゆるやかな増加傾向にはあるものの、これまでのピークである177,156人(平成20年)と比較すると少ない状況が続いています。
また、保健所への相談件数が減少傾向にあり、HIV/エイズへの関心の低下が心配されています。
STD研究所へはHIV感染症/エイズに関するご相談が多く寄せられます。
特に多いのが、「このような行為を行ったがHIVに感染しないか」とか、「不安な行為の後、このような症状が出ているがHIVに感染していないか」といったものです。
その場合は、症状の原因がHIV感染以外であることも踏まえた上で医療機関の受診をおすすめしたり、時間のない方には、自宅でできる検査キット 「STDチェッカー」 で検査を受けることをご案内しております。
HIV感染初期に表れることがある症状 |
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発熱、咽頭炎、発疹、筋肉痛、関節痛、下痢、頭痛、嘔気、嘔吐、肝脾腫、体重減少、口腔カンジダ症、神経学的症候 など |
上記表の内容からもわかりますが、HIV感染の初期症状は風邪やインフルエンザなど、普段の体調不良の場合に出る症状と見分けがつきにくいもので、症状だけで感染しているかどうかはわかりません。HIV抗体検査を受けていただくことが必要です。
医療機関であっても、これらの症状で受診された人すべてに対してHIV感染を疑うことはできませんが、特に免疫低下により表れる帯状疱疹や口腔カンジダ、そして結核、慢性の下痢、原因不明の発熱や体重減少などについてはHIV感染やエイズ発症の可能性を考慮し、積極的に検査を行うことを勧められています。 (ただし、HIV検査は本人の同意なしに行うことはありません。)
ひと昔前、HIV感染症は死に直結する病気でした。
しかし、現在では適切な治療を受けることによって、通常と変わらない社会生活をおくり、寿命をまっとうすることも可能となりつつあります。
HIV感染症の治療は、体内のHIV量が増えないように薬を飲むことが主となります。
最近は、早い段階から治療を受けることがすすめられています。
▼早い段階から治療を始めることのメリット
・ 早くから体内のHIV量をおさえることができるため、免疫力の低下を防ぎ、エイズの発症をおさえることができる
・ 体内のHIV量をおさえると、パートナーへHIVをうつす可能性が低くなる
さらに、近年、HIVに感染してからエイズ発症までの期間が短くなっており、2〜3年での発症も珍しくないという報告もあります。感染後の健康のためにも、感染を広げないためにも、早期発見と早期治療が大切です。
<ご参考> 当サイト内の、HIV/エイズに関するコンテンツ
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● 対面での検査に抵抗がある方や、検査に行く時間がない方へ 郵送検査キットSTDチェッカー
ご自分で検査物を採取し、検査は病院や保健所などと同じく、認可を受けた登録衛生検査所で行ないます。 お客様個々のケースに応じてご質問を承ったり、検査結果が陽性(+)でご希望の方には、個別に医療機関を ご案内しています。
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年間報告からも分かるように、現状は、病気が進行した状態で見つかる方(エイズ患者)が、たくさんいらっしゃいます。
「つい無防備な性行為をしてしまった」と感じた場合は、検査を受けることが大切です。
ぜひ、この機会にHIV感染症/エイズという病気、そして自身やパートナーの健康について考えてみてください。