川崎市衛生検査所登録
第291号
STD研究所
エニーラボラトリー
先月の特集でお伝えしたとおり、HIV感染症の治療法は大きく進歩しました。
しかし、現状では、感染すると一生治療を続けていく必要があるため、健康のことや社会との関わり方などに悩まれている感染者の方もいらっしゃいます。
HIV感染症について正しく知ることは、自身やパートナーの健康を守ります。さらに、感染者の方と助け合って暮らしていくためにも大切です。今月の特集は、HIV感染症の新たな課題と、改めておさえておきたい感染のしくみと予防についてお伝えいたします。
先月11月の特集は こちら 【HIV感染症の治療法は大きく進歩しています】
▼ HIV感染症の治療は進歩しています
先月の特集でご説明したとおり、HIVに感染しても、早く治療を始めることで、体の中のHIV量を低くすることができます。
そうすることで、免疫力の低下を防ぐことができ、エイズ発症を抑えることはもちろん、さまざまな病気になる可能性を減らすことができます。
▼ 新たにわかってきている課題
しかし、最近の研究では、たとえ免疫力が低下していなくても、 HIVに感染していることで、通常の人と比べてなりやすい病気があることが分かってきました。
【HIV感染者がなりやすいとされる合併症】
心筋梗塞・動脈硬化など心臓や血液に関する病気、認知障害、腎臓・肝臓への障害、骨密度の低下、悪性腫瘍(がん)など
上記は、年をとるにつれて多くの人に関係する身近な病気ですが、HIVに感染していることで、比較的若い時からこれらの病気になりやすいことが報告されています。
特に、HAND(HIV関連神経認知障害)と呼ばれる認知障害が注目されています。軽い症状であることが多いものの、物忘れや、注意力の低下につながります。これは、HIV治療薬の飲み忘れなど、治療の障害になることがあります。
これらの合併症は、HIV自体が原因となるものと、治療薬の副作用によるものがあると考えられています。
しかし、現状は不明な点が多く、研究が進められている段階です。
▼エイズと共に生きている方々が快適に暮らせる社会の実現のために
これまでに報告された国内のHIV/エイズ感染者・患者数は累計2万人を超え、多くの人がこの病気と共に生きています。
正しい知識や、新しい情報をもち、HIV感染症をもっと身近なものとして考えてみてください。そうすれば、これらの方々と共に助け合いながら暮らすことのできる社会の実現にもつながるのではないでしょうか。
HIV感染症を知るといっても、専門的で難しいことまで理解する必要はありません。
今回は、ぜひおさえておいていただきたい「HIV感染のしくみと予防法」についてご説明したいと思います。
STD研究所によせられるご相談の内、特に多い質問についてお答えしていきますので、参考にしてください。
Q. HIVはどうしたら感染するの?
A.HIVは自然発生するものではありません。現在、日本における感染経路は、ほとんどが性行為によるものです。
HIVを多く含む血液、精液 (さきばしり液含む)、腟分泌液が、相手の粘膜部分 (口の中、ペニス、尿道、腟、直腸など)や傷口などに接触することで、感染の可能性が出てきます。
具体的には、正しくコンドームを使用しないセックス・アナルセックス・オーラルセックスを1度でもしたことがあるなら、感染の可能性があります。
<もう少し詳しく> HIVはどうしたら感染するの?(性行為編) 具体的に 「何をどうしたら」 感染の可能性があるのか、気になるところですね。 セックス・アナルセックス・オーラルセックス・・・あらゆる性行為ごとにご説明します。 →詳しくはこちら |
Q.コンドームを使用していれば感染しませんか?
A.コンドームは、接触する粘膜部分のバリアとなります。性行為の最初から最後まで、正しく使用していれば感染はしません。
誤解されている方もいらっしゃいますが、ピルや膣外射精は、HIV感染症の予防にはなりません。
Q.特定の人とだけ性行為をしているなら感染しませんか?
A.相手がHIVに感染していなければ、もちろんHIVに感染することはありません。
ただし、「現在のセックスパートナーがお互いのみであること」 と、「お互いが感染していないことを確認していること」 が前提条件となります。
Q.症状から感染しているかわかりませんか?
A. 症状に関するご不安の場合は、症状の原因がHIV感染以外であることも踏まえた上で、医療機関の受診をおすすめしています。しかし、医師の側からも、患者の意思表示が無いのに性行為など感染の機会については尋ねにくいものです。感染の機会があり、何らかの症状が出てご不安な場合は、自分から積極的に医師に相談することも必要です。
Q.どのような人が感染しやすいですか?
A. HIV感染症は性行為をする誰もが関係のある病気です。
性別、年齢、国籍、パートナーの数、パートナーの性別などは関係ありません。
▼ 検査は、不安の解消や早期発見だけでなく、病気やその予防について考えるきっかけになります
予防が大切なのは分かっていても、「つい無防備な行為をしてしまった」「過去の行為が気になる」という方は多いのではないでしょうか。予防できなかったと感じた場合は、検査を受けることが必要です。
12月1日の世界エイズデー前後は、全国各地のイベント会場で検査が行われるなど、普段より身近な所で検査を受けることができます。予約が必要であったり、曜日が制限されていることもあるので、 「対面で検査を受けることに抵抗がある」「検査に行く時間がない」という方には、郵送検査キット 「STDチェッカー」 でもHIV検査を受けることができます。
また、クラミジアなど、その他の性感染症も、HIVと感染経路はほとんど同じです。
ぜひこの機会に、他の性感染症の検査もあわせて受けてみてください。
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性病検査STDチェッカー タイプJ(男女共通) 4,935円 ≪1項目≫ HIV抗体スクリーニング検査
ご自分で検査物を採取していただき、検査は病院や保健所などと同じく、認可を受けた登録衛生検査所で行ないます。
検査結果はサイト上でログインしてご確認いただきます。 STD研究所では、お客様個々のケースに応じてご質問を承ったり、検査結果が陽性(+)でご希望の方には、個別に医療機関をご案内しています。
HIV/エイズ検査を含むSTDチェッカーは こちら をご覧ください。
▼ 感染不安が強くて、どこかに相談したい場合は