2018September

9月号

なんで!?
何もしてないのに、
おりものがヘン!
なんで!?何もしてないのに、おりものがヘン! なんで!?何もしてないのに、おりものがヘン!

01

知ってますか?
おりものは、周期的に変化している

ある日ふと気づくと、おりものがいつもより多い…? ちょっと臭う気がする…。
おかしい…もしかして性病? でも私、何もしてない!なんで!?

みなさん、ご存じでしょうか。おりものって周期的に変化しているんです。
さらさらで量が多いときもあれば、ねっとりして少ないときも。
このような変化は、月経と同じ周期で起きています。普段からおりものをじっくり観察していなかったら、なかなか気がつきにくい事かもしれませんね。
だから、周期的な変化にたまたま気がついた時に、びっくりしてしまうこともあるかもしれません。

周期的な変化はこのように起こっています。

おりものの周期的な変化

排卵期(受精できるタイミング)の前後には、おりものの量が多く、無色透明でサラサラになります。
これは、精子が子宮の奥にたどり着きやすくするため。透明でたくさん粘液があると、精子はその中を泳いで進みやすくなります。

また、排卵期の後の黄体期には、粘りが出て不透明で量が少なくなります。
これは、異物や病原菌が入ってくるのを防ぐため。

このように、腟や子宮はおりものを分泌して、精子を手伝ったり、自ら清潔に保っているのです。

02

それでもやっぱりおかしい、
変なおりものの原因は?

このように、健康な状態でもおりものに変化があるのは、ごく自然なことです。
でも、例えばおりものが茶色かったり、大量にでたり、いつもと違うにおいがしたり…。健康なときの変化の範囲を超えて異常があった場合は、どんな原因が考えられるでしょうか。
大きく分けると2つの原因が考えられます。

常在菌のバランスが崩れている

「腟の中は菌だらけ」なんて言うとびっくりしてしまうでしょうか。
実は、健康な人の腟でも、中は菌だらけ。
腸内にたくさんの細菌がいることはご存じの方も多いかと思いますが、これと同じようなイメージですね。

腟内にも、いろいろな菌がいます。こういったもともと存在する菌を「常在菌」といい、そのうち身体にとって良い働きをする菌を一般に「善玉菌」、悪い影響を与える菌を「悪玉菌」といいます。

腟内には「ラクトバチルス属」(乳酸菌)の「デーデルライン桿菌」という善玉菌がいます。
この菌たちは、腟粘膜から出てくるグリコーゲンという物質を食べて、「乳酸」を出します。
この乳酸のおかげで、腟の中は酸性(pH3.8~4.5)に保たれ、病原菌の侵入や、悪玉菌の増殖を防いでくれているのです。

だから、例えばおりものが臭うからと言って、腟の中まで洗ってしまうと、善玉菌がいなくなって腟内の菌のバランスが崩れ、悪玉菌が増えてしまうこともあります。

例えば、婦人科でよく診られるカンジダ菌も、腟の中の常在菌。
普段は、善玉菌に抑えられて悪さはしませんが、睡眠不足や飲酒、ストレスなどによって免疫力が低下したり、不衛生な性行為をきっかけに、菌のバランスが崩れ、カンジダ菌が増えて悪さをすることがあります。

常在菌のバランスが崩れて起きる代表的な病気には以下のようなものがあります。

性器カンジダ症
ヨーグルトのような白いおりもの。酒粕状、粥状とも言われ、ぽろぽろかたまりのようになることもあります。
細菌性腟症
均一な淡い灰色でサラッとしていて悪臭を感じる場合があります。

もちろん性病が原因になることもあります

性行為によって、外から入ってきた菌が感染し、おりものに変化があらわれることも。性感染症が原因の場合のおりものの変化は、一般的には以下のように表現されます。

クラミジア
量が多く、サラッとして水っぽいおりものが特徴です。おりものは周期的に多くなることもあるので、なかなか気づきにくいかもしれません。
淋菌
量が多く、うみっぽいおりものになります。
トリコモナス
黄色~淡い灰色で、おりものが泡状になります。
03

何もしていない、
と思っていても実は…

「何もしていない、セックスは彼とだけ。だから性病が原因っていうことは無いはず」

果たして本当にそうでしょうか。
他の人から性感染症に感染することはなくても、彼から感染する可能性はあります。
必ずしも彼が浮気した、ということではなく、彼は前の彼女から感染していたかもしれません。性感染症は症状が出ない場合も多く、長期間気づかないこともあるので、十分ありえることです。
また、例えばシャワーする場所がないなど不衛生な状態で性行為をした場合、性病でなくても何らかの細菌やウイルスが感染することもあります。

ということで、特に感染の機会がなくても、あるいは、セーフティな性行為しかしていないつもりでも、おりものに変化が出ることはあるんです。
そういった変化に気づくためには、普段からしっかり自分のおりものを観察しておくことも大切ですね。

04

おりものや腟の健康を保つには

では、おりものや腟の健康を保つには、何に気をつければいいのでしょうか。以下にまとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。

常在菌のバランスが崩れないように

  1. 免疫力の低下を防ぐために、健康的な生活を心がけて、睡眠不足にならないように心がける
  2. 下着は通気性のよいものを選び、きついガードルやジーンズ、ストッキングなどを長時間着用しないようにする
  3. 腟の中は洗いすぎない(治療のための腟洗浄については、医師の指示にしたがって適切に行ってください)
  4. 体調不良時はセックスをしない

性行為に関しては、セーファーセックスが一番大事

  1. まずは、セーファーセックスの確実な予防法「コンドームの着用」
  2. セックスの前にシャワーを浴びる、屋外でのセックスをしない、寝具を清潔にすることも大事

変化に気づいたときは、検査を

おりものの変化は原因が幅広い上に個人差もあり、変化に気づくこと自体、なかなか難しいことかもしれません。
だからもし「何かいつもと違う」と思ったら、それは早期発見のチャンスかもしれません。
そんなときは、ぜひ一度、検査を受けてみてください。